ディベート×演劇

「子どもらが 自分の場だと 思う所に 花が咲く」(徳村彰)を、学校現場で目指します。

「物書同心居眠り紋蔵」佐藤雅美

「奇病つながり」というわけでもないが、この短編集を読む。

佐藤雅美は、時代劇に経済ネタを持ち込んだ人。公事宿なんてものがあったということも、この人の本を読んで始めて知った。

しっかりした時代考証を元に、庶民の生活を描いている。そこに描かれているのは、時代を超えて普遍的な人間の姿。

昼間、勤務中に居眠りをしてしまうという藤木紋蔵。この奇病のために、四十四になっても昇進も臨めず、内職をしながらなんとか五人の子どもを養っている。

だから、紋蔵が事件に関わっても、快刀乱麻を断つ、とはいかない。うろうろと現場近くをうろついて、仲間の同心から邪魔者扱いされたりする。

たまに、他に人がいないからと、検死に出かけたりすると、話がこじれて首になりかかったりする。

うだつの上がらぬことここに極まれり、と言った人物だ。

本来の捕物帖なら主役をはるはずの、大竹金吾なんて三回りの同心に対しては、だから気圧されてしまう。

今ならさしずめ窓際族のおじさんなのだが、そのなんとも格好悪い姿に、妙に共感してしまうのは、僕も不惑を超えて、あれこれと恥多き人生の折り返しに来たという自覚が出てきたからかもしれない。