ディベート×演劇

「子どもらが 自分の場だと 思う所に 花が咲く」(徳村彰)を、学校現場で目指します。

「聖なる島々へ」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

聖なる島々へ lt;デイルマーク王国史2gt;
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 田村 美佐子

東京創元社
2004-10-22
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デイルマーク王国史第2巻。

第1巻では、詩人一家の父さんが実は「運び屋」だったわけだが、この巻でもまた父親というものがあれこれと絡んでくる。

主人公は南部のホーランドの貧民街に住むミットという少年。

彼は極貧の生活に喘ぎながらも、自分の心は自由だという誇りを持って生きている。

彼は圧政を敷くハッド伯爵を亡き者にするため、乳を裏切った反乱組織に復讐するため、爆弾を伯爵に投げつける。

しかし、計画は失敗に終わり、逃亡した彼は、よりによって伯爵の孫娘とその弟の反戦へと転がり込む。

反目し合う子供たち。しかしその反目も、お互いの純粋さ故だ。秋嵐に船が沈みそうになる所を、彼らは力を合わせて乗り切っていく。しかし、そこに、ぼろ舟から助け上げたアルが入り込んでくることですべてが狂っていく。

アルは大人としてのずるさを体現した人物だ。それまでの三人はどんなに反目し合っても、お互いにだまし合おうとしても、子どもの単純さ、率直さから抜け出ることはなかった。

ところが、アルは抜け目なく、狡猾だった。自分だけ何もせず、三人を分断しながらいいように取り扱った。

そうしたアルの姿を見て、ミットは自分もああなるのではないかと思い悩む。

アルの姿は自分の将来の姿だと突きつけられたのだ。

実際、彼は行方不明になったミットの父だったのだが…。

しかし、ミットはアルミットと出会い、決断を迫られたとき、父とは違う道を選択する。それがどのような未来を招くことになるのかは、まだこの巻では明らかにならない。

この辺りの心理描写の巧みさはさすが、ジョーンズという感じだ。

話はジョーンズの作品のパターンに従って最後の最後に急転直下、解決へと向かう。


こうしたピースをつなぎ合わせていって、どんな全体像が浮かび上がってくるのだろう。
巻末の用語集を見ると、このあと1年ほどして、「大蜂起」が起こるとなっているが。

とても楽しみだ。