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ポール=ロワイヤル

アンリ・ド・モンテルラン作 川口薫訳

ポール=ロワイヤル伝説と言われても、なんのことやら門外漢にはさっぱりわかりません。

サンチアゴの騎士団長』『少年が君主の町』とともにカトリック三部作を完結する作品であると序文に書いてある。

一読した時には、人間関係がよくつかめずにいたが、再読してみると、わりと面白く感じた。

ジャンセニスムに関して多少の知識を仕入れてから読めば良かったと反省。

カトリックでありながら、プロテスタントのカルヴァニズムに近い考え方を持っていたため、イエズス会から異端だと迫害を受けたジャンセニスムの発祥の地が、ポール=ロワイヤル修道院だった。

物語はポール=ロワイヤル修道院の修道女たちが、そのジャンセニスムを捨てることに同意する署名を強要されるという状況から始まる。

信仰の自由とそれを奪い取ろうとする様々な外部からの圧力。

その中で、最初堅牢な巌のような存在だったアンジェリック・ド・サン=ジャン修道女が最後にこれからの境涯への恐怖に怯え、自らの信仰への危機に陥っていく。一方若くて未熟なフランソワーズ修道女が迫害の中で功名を見いだしていく。この対比が面白い訳だ。

非常に骨太なよくできた戯曲だと思う。でも、日本じゃできないかな。