ディベート×演劇

「子どもらが 自分の場だと 思う所に 花が咲く」(徳村彰)を、学校現場で目指します。

修学旅行1日目

 朝3時起床。この時間に起きるのは久しぶりだ。しばらくネットにアクセスできないかもしれないので、メールをチェックする。

mixiに今泉浩晃さんが参加して下さる。これでまたマンダラートについて色んな意見交流ができるといいな。

 5年前は、この時間に起きて勉強をしていた。今は5時に起きている。勉強をしなくなったのではない。何を優先するかの順序が変わったということだ。

 簡単に食事を済ませ、4時半過ぎに家を出る。始発が4時57分。小平どまりなので、小平で準急に乗り換え。高田馬場でメトロ東西線に乗り換え、飯田橋。飯田橋で中央線に乗り換え、神田へ。神田で京浜東北線に乗り換え、浜松町。浜松町でモノレールに乗り換え、羽田空港第一ビルへ。やれやれ、遠いぞ。

 同じ電車にかなりの生徒が乗っている。

 8時発のJAL1863便は、定刻に出発。『論理に強い子どもを育てる』(工藤順一)を読了。『国語のできる子どもを育てる』も面白かったが、この本も示唆に富む内容だ。

 論理的な読みが、ジグソーパズルをするようなものだという説明は、ちょうど読解のアナロジーとしてジグソーパズルを使い始めた所なので、非常に親近感を持った。

 図に書いて分析する方法は、マインドマップとも非常に親和性がありそうだ。「朝の読書」に対する批判も新鮮だった。「本を読む本」は帰ったら早速読まなくては。

 10時に鹿児島空港に到着。すぐにバスに乗り水俣へ。約2時間の道のり。朝早かったので、みんなすぐ寝てしまうだろうと思ったら、まあ元気なこと元気なこと。バスガイドさんに九州産交バスの歌をねだったり、おはら節を一緒に歌ってアンコールしたり、まあすごいはしゃぎっぷり。

 水俣に到着し、レストランたけんこで食事。「今までの学校で一番すばらしい」と従業員の方にべた褒めされる。その後、相思社の方にナビゲートしていただいて、水俣フィールドワーク。3組は高島さんという方に案内していただいて、明神へ行く。ちょうど潮が引き始めた所で、磯遊びをする。外はまだ寒いけれど、海の中はもう春。ちょうどワカメやひじきが収穫時になっているという。

 ここでも疲れを見せず、みんな大はしゃぎをする。

 その次は水俣歴史考証館へ。6年前に来たときより上の方までバスが行けるようになっている。それでもやっぱりけっこう歩く。一通り説明を受けて降りてくると、けっこうみんなへろへろになっている。

 もやい館への10分程の移動でやっと静かな移動になる。

 もやい館に、水俣病の語り部、杉本栄子さんをお迎えしてお話を伺う。

 杉本さんは、開口一番、「知ったかぶりは罪ですね」とおっしゃった。我々教師が、水俣のことを知ったふりして偉そうに教えるのではなく、こうして水俣に来て、話を聞くようにしたことを評価して下さっての言葉だった。そして、「私が話した以上に今悩んだ人がいるとしたら、その人には私の言葉は理解できると思います」と前置きして話をして下さった。
 今、人間関係で悩んでいる生徒には、大きな勇気をいただけた話だったと思う。水俣病という言葉もなく、「マンガン病」と呼ばれた時代。ちらほらと患者が出てきた時代だったが、チッソの囲いこみで、誰も医者にかかろうとしなかった時代。そんな昭和34年に発症したお母さんを、お父さんは、病院へ連れて行った。そのことが家族以上に親密だった村の人達から反発を買うことになった。網元として30人の生活を支えていた家に、網子一人、近寄らなくなってしまった。NHKも夜7時のニュースで、お母さんがマンガン病だとニュースを流したという。伝染病じゃないかというので、雨戸も開けられず、開けると石が飛んできた。そうして村全体からいじめを受けることになった。

 人を疑うことを知らなかった杉本さんは、人がこわくてこわくてたまらなくなった。しかし、お父さんは「今は時化じゃ。この時化が終わるまで死んじゃならん」「いじめる人は変えることができない。それなら自分が変わればいい。それがいっちょまえということだ」「水を大切に、木を大切に、人を好きになれ」と励まし、教え続けたという。

 今、水俣は「もやい直し」と言って、重ウ民の間にできた深い溝を埋める努力を続けている。その運動の背後に、このお父さんの言葉が脈々と受け継がれているように思う。

 クラスごとに杉本さんと記念写真を撮ってからお別れをする。お礼を言った生徒と握手する時、杉本さんは生徒の手を両手でそっと包んでやさしくなでてくれていた。

 「切れたら、うちに泊まりにきて下さい」杉本さんは、心から生徒達にそう呼びかけてくれた。

 いつか、今よりもっと辛いことが起こった時に、杉本さんの言葉は生徒達の中によみがえってきて、一歩前に踏み出す勇気を与えてくれると思う。

 5時頃湯の児温泉の山海館に到着。夕食後、環境省国立水俣病総合研究センターの方をお招きして、有機水銀について話を伺う。事前に学校でサンプリングして送っておいた頭髪の水銀値の結果を一人一人もらう。僕は2.32ppm。平均値という所か。

 マグロや金目鯛などの有機水銀を多く含む魚を多量に接種しなければ、まず大丈夫だということが分かった。

 講演後、生徒達は貸し切りになっている洞窟風呂で思いっきりて脚を伸ばしていることだろう。僕は修学旅行明けに追試が待っている生徒のレクチャー。

 さて、明日も早い。そろそろ寝るとするか。