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ディベート×演劇

「子どもらが 自分の場だと 思う所に 花が咲く」(徳村彰)を、学校現場で目指します。

8−120116 [WW][教育]「選択と共有」が自立(自律)した書き手を育てる

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
               189号 2012年1月15日発行
                      (毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1 「選択と共有」が自立(自律)した書き手を育てる
            「ワークショップ」編集委員
                    女子聖学院高校 筑田 周一
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 筑田周一さんによるライティング・ワークショップに関するご論考です。
中学校や高等学校で取り組んでいらっしゃる方々には、共感できる点がた
くさんあるのでは、と思います。もちろん小学校の先生にもぜひ読んでい
ただきたい内容です。                 (石川 晋)
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1 「選択と共有」が自立(自律)した書き手を育てる
            「ワークショップ」編集委員
                    女子聖学院高校 筑田 周一
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 毎年1月の5日6日の2日間に、ライティングワークショップ勉強会の
定例会が行われています。早いもので今年で5回目を迎えました。お互い
の実践を持ち寄って検討し合い、フィードバックを受けたことをまた次の
実践へ生かしていくといういいサイクルが生まれています。今回私は「授
業づくりネットワーク」のために書いた原稿を検討してもらいました。検
討してもらう中で「ライティングワークショップ」の本質に関して確認を
することができました。それは「選択と共有が自立(自律)した書き手を
育てる」ということです。
 当初の私の原稿では、ライティングワークショップの説明について、週
3時間以上行うことや、年間を通して行うといった「形式」についての記
述に終始していました。この点に対する違和感を仲間達は指摘してくれま
した。

 確かに『ライティング・ワークショップ』(ラルフ・フレッチャー&ジ
ョアン・ポータルビ/小坂敦子・吉田新一郎訳、新評論)には「年間を通
して、毎回1時間前後のワークショップを少なくとも週に3日は確保して
下さい。」とあります。しかし、私たちの勉強会には、2時間続きの授業
を週1回という条件の中で実践して成果を上げている仲間もいますし、年
間通じては無理だけれど、集中的にある時期に書く授業を固めることで実
施している仲間もいます。そうした様々な工夫を凝らして、実践している
仲間の姿が、私の説明からは抜け落ちていました。

 では、形式の部分ではなく、「この実践はライティングワークショップ
だ」と内容の部分で判断できる基準は何でしょうか。
 それが「選択と共有」の機会を与えるということです。
 自分が何を書きたいかという段階での選択から始まって、ミニレッスン
で紹介された技術を取り入れるか取り入れないかということ、自分の書い
ている作品をどの段階で完成と判断するのか、出版するのかしないのかと
いうこと、こうしたライティングワークショップのサイクルの中で主体的
に生徒が選択をしていく自由があることが、「自立した書き手」を目指す
上で重要なことです。
 また、ひたすら書く時間に行うカンファランスや、共有の時間での教師
と生徒、生徒と生徒の間で作品を読み合い、お互いの文章表現や視点から
刺激を受け、高め合うことも大切です。この点に関しては第43号の「線
としてのワークショップ授業」の中で触れました。
 http://archive.mag2.com/0000158144/20101022230000000.html
 実際の実践の様子を振り返ってみます。12月から1月にかけて、久し
ぶりにライティングワークショップの授業を行っています。今回は12時
間という枠組みの中で小論文に挑戦しようという目標を立てて実施してい
ます。
 時間やジャンルを限定しているという点では、「選択」の自由を制限し
てるように見えます。しかし、実際には11個の大きなテーマ(循環型社
会・地球温暖化・医療事故・障害児と学校教育・生涯学習・南北問題・N
GO・情報格差・高齢社会の科学技術・消費者の心構え・食育)の中から
興味のあるものを1つ選ぶようにしました。さらに、テーマについてどの
ような命題(○○は~すべきだ)を立てるかはそれぞれに任せています。
例えば「循環型社会」でリデュースを取り上げるとしても、「日本はレジ
袋の有料化を義務づけるべきだ」「地方自治体は家庭ゴミ収集を有料化す
べきだ」「○○高校はマイ箸の携帯を義務づけるべきだ」などと、それぞ
れの興味・関心に沿って多様なアプローチが可能です。また、12時間の
うち、テーマが決定してからの7時間の使い方は、各グループに任せてい
ます。

 自分の書きたいテーマごとに分かれたグループの取り組みは実に多様で
す。授業の冒頭で私がミニレッスンを行った後、生徒達はグループごとの
話し合いを始めます。どんな命題で書くのか手っ取り早く決め、内容の吟
味に時間をかけるグループがあれば、テーマにどういう視点から切り込む
のかに多くの時間をかけるグループもあります。たとえば「生涯学習」を
選んだあるグループでは、命題を決めるまでの話し合いに5時間をかけま
した。1時間目に複数の候補を出し、2時間目にどれにするかの検討をし
ました。その時間の振り返りで、「どこかが楽になるようにすると、どこ
かが負担しなきゃいけないんだなと思いました。」と書いてきています。
具体的な政策が社会に及ぼす影響について様々な面から検討したことが伺
えます。3時間目にはミニレッスンで紹介したリンクマップ(プランから
生じるメリットやデメリットの因果関係を図示したもの)をグループで作
成し、さらにメリットデメリットについて考察を深めていきました。手元
の資料では不十分になったらしく、「家で調べてこないとわからないなと
思いました。」と振り返っています。ここまででいったん冬休みに入って
中断しますが、4時間目、5時間目と話し合いを続け、「一村一品運動
ならぬ「地方自治体は一村一行事運動を展開すべきだ」という提案にたど
り着きました。

 こうした活動をしている横で、手早く命題を決定したグループは執筆に
入っているのですが、そのグループは焦る様子もなく、安易に教師に答え
を求めるのでもなく、自分達が納得いくまで話し合って行きました。ここ
まで徹底して話し合えば、残りの2時間で十分納得した内容の小論文がか
けると確信しているのかもしれません。今日の段階でここまで進んでいま
す。ちなみに残り2時間で完成した後は、互いの作品を2時間かけて読み
合い、共有をしていきます。こうした姿に、私は「自立した書き手」へと
成長しているという手応えを感じています。

 ということで、「選択と共有」というキーワードを再確認することで、
目の前で展開している生徒たちのダイナミックな成長に、改めて気づくこ
とができました。私にも、生徒同様すばらしい仲間がいることに感謝です。

授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 今年度も私はWWに取り組んでいます。中学校3年生の国語の時間です。
前年度よりも格段にうまくいっていません。年間計画には明示しているも
のの、他の領域との兼ね合いなどで、年計通りに進みません。学校行事と
の兼ね合いで授業が均等に入らない状況で、事実上中断となってしまいま
す。そもそも週一時間の確保も難しい時数ですので、生徒全体のモチベー
ションも下がりがちです。だが、こうして筑田さんや仲間の方の取り組み
の様子を読ませていただくと、もう一度新学期から、ひと踏ん張りしてみ
ようかという気持ちになります。
 先日本メールマガジンにも執筆いただいている山崎正明さんの美術の授
業を終日参観させていただきました。山崎さんの美術の授業は、まさに「
作家の時間」なのです。3年生とは、本気の「価値のインストラクション」
をスタートとする「卒業制作」の取り組みが展開されていました。
 私も3学期は、「卒業文集執筆」を柱にして、WWにもう一度真摯に向
き合ってみようと考えています。 またまた少し長くなりました。

 次号は、ライフヒストリーチームから、長瀬拓也さんと藤原顕さんの誌
上対話です。どうぞお楽しみに。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第189号(読者数1815) 2012年1月15日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com
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