読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ディベート×演劇

「子どもらが 自分の場だと 思う所に 花が咲く」(徳村彰)を、学校現場で目指します。

島田荘司「星籠の海」上

島田さんの文章は美しい。
まず題名がいい。美しいよね、「星籠」。
「セイロウ」という響きもいい。
そして、文章は、なんだか呼吸するように、するすると体の中に入ってくる感じがする。
瀬戸内海には前任校の時、ちょうど瀬戸内博をやっていた頃に中学の修学旅行の下見と引率で出かけたことがある。
1987年、88年のあたり。
今回の舞台が93年だから、5、6年前か。舞台の様子はそんなに変わっていないだろう。

新興宗教で「日東第一教会」というのが出てくる。
「第一」と名付けるのは、韓国では多いときいたことがある。
私の通う教会の姉妹教会も「東村第一教会」。もちろんれっきとしたプロテスタント、長老派の教会だ。
鞆の浦の風景を見た朝鮮通信使が「日東第一」と感嘆した風景ということだから、やっばり朝鮮半島の人は素晴らしいという意味で「第一」とつけるんだろうね。

<a href='http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406218589X/nade-22/' target='_blank'><img src='http://ecx.images-amazon.com/images/I/61xEPzi10iL.jpg' width='346' height='500' alt='星籠の海 上' title='星籠の海 上' /></a>

さて、この作品で登場してくる優男の小坂井君。
優柔不断で自分というものを持たず、押しの強い女の子の意のままに行動してしまう。
ちょっと身につまされる所はある。
93年で20代だから、まあ同世代といえなくもない。
私には彼のようなひものような生活は耐えられなかっただろうけれど、どこか時代の空気に乗り切れない屈折はわかる。
瀬戸内と東京湾では全然違うだろうけれど、海辺の町の雰囲気はわかる。
特に、浦賀の辺りの風情には、何となく江戸の昔からの香りが漂っている気がする。
そんなわけで、この作品には本当にすんなりと入り込んでいけた。
伏線の数々が提示される上巻。
自分で自分を傷つけ、瀕死の状態に陥る看護学生。
瀬戸内に出没するネッシーのような未確認生物。
阿部正弘を巡る幕末の謎。
こうした諸々をいったい御手洗はどう解決していくのか。
下巻が非常に楽しみ。