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戯曲

『鍵の所有者』ミラン・クンデラ作 村井志摩子訳

翻訳者によると、「チェコ語をモザイクのように組み立てたこの戯曲を、翻訳によってしか紹介することのできない空しさは、この作品の場合、強烈に翻訳者の胸にしこりとなっている」とのことだから、ビデオで見られたらな、と思う。 作者の金字塔だと絶賛して…

『塔』ペーター・ヴァイス作 岩淵達治訳

放送劇の脚本として作られたそうだけれど、とっても幻想的。 効果音についてあれこれとイメージを膨らませる。 自分を縛りつけるものの象徴として塔が描かれる訳だけれど、こうれを舞台でやってもけっこう面白そう。短いし。

「もう遅い」ヴォルフガング・ヒルデスハイマー作

さびれた村を訪れた老教授と、村の人々とのやりとり。 何が生み出されるわけでもなく、何かが起こることを期待していると、結局何も起こらずに期待は裏切られる。 構成が見事。いいなあ。読んでいて飽きない。登場人物は誰も成長しないし、何かを学びもしな…

「嘆きの壁の前で」コンラート・ヴェンシェ作 津川良太訳

燃え盛る街から、逃げ出す民衆。 ええ格好しい、ということでは、この作品のクレーメンスという男もそう。 父親を殺し、ケガをして、妹の世話になりながら、ありもしない夢物語を語り続ける。 いつの間にかその男から妹は離れていき、最後は冷ややかに他人と…

「城壁の前での大いなる弾劾」タンクレート・ドルスト作 宮下啓三訳

いろいろ戯曲を読んでみると、どうも格好いい男、というのはあんまり出てこない。 男をかっこうよく描こうとすると、運命に殉じて死ぬ、とか、目的に向かって突き進むとか、何か社会的な価値を描かないとうまくいかない感じがする。ということは、その社会的…

「あざみの花咲くころ」ヘルマン・メールス作 岩村行雄訳

刑務所の中庭で繰り広げられる、看守と五人の囚人の物語。 カミュの短編小説で、門番が門を守っていて、男がどうしてもその門の中に入れてもらえない、という話があったが、その話を思い出した。 刑務所の外の世界に憧れる男たちと、狭い世界の中で自分の生…

「ベアトリーチェ・チェンチ」アルベルト・モラヴィア作

これぞ悲劇、って感じの戯曲。構成が見事だね。王道を行っているという感じ。 [戯曲]「罪なき告発」のマルタとイレーネの母娘の対立も面白いけれど、こちらの父娘の対立も面白い。 ベアトリーチェの毅然とした姿に魅せられる。こういう役ができる俳優って、…

「罪なき告発」テルロン作

長セリフのオンパレード。まあ冗舌だこと冗舌だこと。これだけしゃべりまくる人物って、いったいどういう頭の構造の持ち主なんだろう。母と娘の対立とか、母親に対する息子の嫉妬とか、描かれている構図自体は古典的なパターンだけれど、母の自己正当化のセ…

「ほんとうのハウンド警部」ストッパード作

舞台を批評している人物がいつの間にか舞台の世界に入り込んでしまい・・・という話。 舞台上の役者は同じ演技をしていて、そこに乱入した批評家がしゃべる詞に同じように反応するだけなのに、話がつながっていってしまうのが面白い。こうした構成はいろいろ…

「管理人」ハロルド・ピンター作

話が噛みあわない。おずおずとしかし、自分の欲望を隠そうとしないディビスという老人が、なんとも人間くさくていい。 ミックとアストンの兄弟のセリフは、冗舌だけれどなんだかうまく噛みあっていない。 終わり方も、その噛みあわないままの息苦しさを残し…

「箱と毛沢東語録」オールビー作

何というか、不思議な感じの戯曲。 まわりくどい話をする婦人に、救済は来るのだろうか。 彼女の話をデッキチェアに座って、無言で聞いている牧師というのはすごく象徴的。 毛沢東の演説もなんだか不思議。そして老女が読み上げる詩。 こうしたアンサンブル…

『殺戮ゲーム』イヨネスコ作

鳥インフルエンザが変異して人に伝染した場合、億単位で人が死ぬ危険性があるという。そういう時代背景でこの殺戮ゲームを読むと、背筋が寒くなる。多くの伝染病を駆逐し、自分たちが伝染病で死ぬことなどないと信じきっている現代日本の我々に、このドラマ…

『夏』ヴェンガルテン作

なんだかおとぎ話のようだな。 男の子と女の子、これに二匹の猫。 猫と話ができる少年が、最後の方で話ができなくなり、話をできなかった少女ができるようになる。特に事件らしい事件はないけれど、詩的でとても印象に残る。 これなんかはうちの生徒達に演じ…

『将軍達のおやつ』B・ヴィアン作

これはフランス版スリーアミーゴーズって感じかな。 フランス語のギャグが、翻訳されるとわからないのが残念。でも、これはおもしろい。パクれそうなネタが満載。

『大典礼』アラバール作

うわあ、人形フェチだ。ムチだクサリだ乳母車だ。 せむし男に美少女。隠微だあ。プロローグの雰囲気が好きだな。 主人公のせむし男みたいなエキセントリックな人物って、どうやったら作りだせるのだろう。

「芝居」ベケット作

これはまた風変わりな戯曲。 最後まで行くと、また最初に戻ってしまう。壺から顔だけ出した3人の登場人物というのも面白い。これは不条理だけど、意味はよくわかる。 帰宅すると、昨日20個のリンゴを煮て作ったジャムを入れたアップルパイがおやつで出て…

「ないーぶな燕たち」ローラン・ドゥビヤール作

ごめんなさい。僕にはよくわかりません。不条理劇というのだけれど、どうも頭の中にイメージを浮かべにくくて。おばさんがいったいいくつなのか、よくわからない。最初読み初めは60代の女性かと思ったのだけれど、上演写真を見ると若いみたいだし。うー、…

『番犬』ハンス・GYンター・ミュヒェルゼン作

原題シュティーンツ。おもしろい。崩れかかった家の閉鎖された空間で、過去にだけ意識を向けながら生きている男と、その世話をする娘。階下では男の戦時中の部下が靴音高く巡視をしている…。 こういう芝居、大好き。

『放蕩息子』ジャック・リチャードソン作

これもオレステス伝説。サルトルのオレステスに比べると、シニカルな感じのオレステス。アイギストスを殺すのを拒否して逃げ続けるが、最終的に状況がそれを許さなくなり、いやいや英雄への道を歩み始めるというところが面白いところかな。

『誤解』A・カミュ作

近ごろはセイン・カミュの方が有名だけれどね。 マルタとマリヤという名前を聞くと、聖書に出てくるラザロの姉妹の二人を連想する。客人の応対に心を奪われた働き者の姉と、イエスのみ言葉に聞き入った妹という対比。 ここでのマルタはやはり心を閉ざし、自…

『蝿』サルトル作

サルトルが描くオレステスは、神の支配を打ち破り、自分は自由そのものだと宣言する。自由を手に入れ、自由が内包する厳しさ、孤独に対して雄々しく立ち向かっていこうとする。 格好いいね。対照的にエレクトラは自由を拒否し、権力に隷属することを選び逃げ…

『壊れた世界』ガブリエル・マルセル作

いかん。登場人物に「アンリ」という青年が出てくるのだが、どうもティエリ・アンリの顔が浮かんできてしまう。一人だけ、赤いアーセナルのユニホームで頭の中をウロウロしている。伏線が最後に明らかにされるのだけれど、退屈。途中でウトウトしてしまった。…

「ノアの洪水」バールラッハ作

ここに表われる神は随分とまたわい小化されてしまったもんだ、という神。 しかし、キリスト教の伝統のある国では、いかにキリスト教の神を超えるかがテーマになるんだな。逆に言うと、乗り越えようとしてあつ一つの基準を明確に意識できる訳だ。 ここに登場…

『イェーダーマン』ホフマンスタール作

『エレクトラ』ではお世話になった作者だけれど、この作品は、道徳劇を改作したものだそうな。確かに、キリスト教倫理観に基づいた話で、戯曲の構造とかに目が行くより、つい内容の方に注意が向いて、近ごろの自分の信仰のあり方などを振り返ってみたりして…

『母』ゴーリキー作

グレゴーリン・リュウビューモフ脚色。 対立の構図が明確でわかりやすい芝居という印象を受ける。 無知な母がだんだんと息子の活動を手助けしていくことで社会意識に目覚めていくわけだが、人物の描き方が2巻に収録されていた戯曲より人間味があるような気…

『結婚』ゴンブローヴィチ作

何というか、テキストだけ読んでも、不思議な感じがする。 形式というものについて作者はかなり注意をそそいでこの芝居を書いている。 夢を見ている中で、自分がその夢の内容に影響を与え、また自分が影響されていくことで、会話が変化し、相互に作用されな…

『寺院の殺人』エリオット作

面白いな。この「現代世界演劇3」に収められている作品、みんな面白い。 実在したトマス・ベケットの殉教を、殉教したカンタベリー寺院で上演したというのだから、すんごいよな。 演劇のもつ祝祭性がまんま、これ以上ない形で実現できたのだから、作者冥利…

『すばらしい靴屋の女房』ロルカ作

この芝居は好きだな。靴屋の女房の愛すべき姿。 これはいいなあ。靴屋の女房の出のセリフだけでも読ませたい。7時間目、中2の読書会に付きあう。「塩狩峠」をテキストにして、信夫の死について語り合う。中2のレベルとしてはけっこう深いところまで触れる…

『夢の劇』ストリントベリ作

「詩的演劇」という巻だが、どの辺が詩的なのか、よくわからん。 印象に残るセリフが沢山ある。 「自分の喜びは/他人を悲しませるが 自分の悲しみはだれにも喜びを与えない」 とかね。 大学総長と四つの学部の学部長のののしり合いもおもしろい。寝しなにシ…

『ミステリヤ・ブッフ』 マヤコーフスキー作

この芝居で未来の世界として描かれたものは、結局はソビエト連邦では官僚機構の搾取の中で実現されていかなかった。うちは代々職人の家系だが、登場してくる鍛冶屋の姿なんか、うちの父ちゃんにそっくりだな。地獄のシーンはいいなあ。原抱えて笑える。廃虚…