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第10回ディベート甲子園観戦講座2

中学の部準々決勝。

河東町立河東中学vs開成中学。コメント長いっす。

東北地区2位対関東甲信越地区4位。試合会場も大きくなり、いよいよベスト8の激突。

この試合からジャッジは五人になる。河東中学校の王道を行くディベートに、開成中がどのような形で対抗してくるのかに注目した。

さて、肯定側のメリットは「ゴミの減量」。東北大会決勝の時と同じだ。対する否定河のデメリットは「コンビニの負担増」。これは今まで見たことのないデメリットだった。

開成はメンバー構成も地区大会と変えていたようだ。今まで反駁をしていた生徒が質疑に回っていた。

「コンビニの負担増」は発生過程がABCの三つに分かれていた。

Aは「主要商品の売り上げ減少」。弁当やカップ麺の売り上げが減るというもの。特におでんやアイスはレジ袋が不可欠なのだが、汁もれや水滴がついたりしてマイバッグが汚れるという話だった。

だから、売り上げが減るという話になっていたのだが、どのくらい減るのかという積極的な証明はなかった。

Bは「袋の利用確認に手間がかかる」。コンビニは利便性が命なのに、一人一人にレジ袋をいるかどうか聞いていたら、効率が悪くなり、利便性が失われるというもの。

これも、どの程度利便性が失われるのかという積極的な証明はなかった。

Cは「袋詰めスペースを確保する必要が出てくる」というもの。スーパーなどで買った商品をカゴからレジ袋やマイバッグに詰め替える時に使う台のことを「サッカー台」というのだそうだ。コンビニの場合は売り場が小さく、サッカー台を置くスペースがないのだが、マイバッグに入れることになると、このサッカー台を置くスペースを作るために店舗改装が必要になるという議論だった。

深刻性はフランチャイズ制のコンビニは、ただでさえ経営が苦しいので、レジ袋の無料化で更に経営が苦しくなるというものだった。経営負担の増加は死活問題だ、といういい方をしていた。

デメリットの発生は、レジ袋が減ることにかかっている。ということは、メリットのゴミの減量の発生は認めつつ、減る量がどのくらいかとか、重要性へのアタックをしていくことになる、ということを否定側立論のあと、生徒たちに説明する。

ということで、否定側第一反駁は、大きく4つの部分に反駁をしていた。

1つめはメリットの発生過程の2「税収によってリサイクル、分別が進む」という部分の税収540億円について。ナンバリングをしていなかったが、細かく分けると5点反駁していた。1、540億という根拠がない。2、分配金は小さく、国民一人当たりにすると423円。3、市町村の26.8%が5000万円以下。4、地方公共団体の予算は年間52兆3000億円なので、税収は0.001%で非常に小さい。5、富山村というところで計算すると、年間9万2520円にしかならないというものだった。

あとの3つの反駁は重要性が3点あったので、その一つ一つに対するものだった。

重要性1「ゴミ処理費用の削減」に関しては、ゴミ処理費用を浮かすとどんないい効果があるのか、という疑問を提示した。

重要性2「環境悪化が抑えられる」に関しては環境汚染物質がどの程度出ているのか、どの程度減るのか、わからないという疑問。

重要性3「環境に優しい行動のきっかけになる」では、2点反駁していて、1つめがどのくらい意識が起こるのかという疑問の提示。2つ目が意識が上がっても行動には繋がらないという日経新聞の記事を引用しての反駁だった。

発生過程への反駁は、レジ袋が減るということを認めているので、税収はその分小さくなっている訳なのだが、さらにその税収を小さく見せようという反駁だった。ただ、講評でも指摘されていたが、環境対策費としてどのくらいの大きさがあるのか、を批判すべきで、できれば重要性の1と絡めてゴミ処理費用削減にはほとんど効果がないといった形に持っていけば良かったと思う。

本当はレジ袋が減らないという反駁をしておいて、リユース、リデュースが進まない状態でリサイクルが進むことは返って資源の無駄遣いになるというターンアラウンドをかけられると効果的だったんだけれどね。

その上で税収が無駄に使われるという反駁もできればねえ。

ここでは、そうはいかなったので、重要性1の部分は疑問が提示された程度で削減されることはいいことだろうという推定は働くので、展開によってうまく逃げられてしまう可能性が残った。

重要性2はまあ指摘された通り、漠然としているのでこの部分はあまり判定に関わるような重要性はないだろうという程度には小さくできた。

重要性3への反駁はちょっとずれていたかな。ただ立論も説明不足だったので、ここも判定を左右するほどの重要性はないかなという程度にはなっていたと思う。

さて、肯定側第一反駁。

このステージは忙しいから、いかに立論を生かしつつ、反駁をしていけるかがポイントになる。

まずデメリットへの反駁。発生過程Aに関しては、質疑でどの程度減るか数字がわからないということを押さえていたので、その質疑を生かして、どのくらい減るかわからないし、不便ならレジ袋をもらえばいいという反駁をしていた。

発生過程Bに関しては、どのくらい負担が増えるのか、一声かけることがそんなに負担になるのか、という疑問を提示していた。

発生過程Cについては2点反駁していて、1つめはサッカー台など入れなくても、レジで詰めればいいというもの。2つめはターンアラウンドしていて、資料を示して574億円も経費を削減できるので、返って負担は減るというものだった。

それぞれ否定側の立証の甘い所をついていた。特にCのターンアラウンドは、僕はかなり有効だったと思う。否定側が現状でも経営が大変だと言っており、プラン後にどのくらい負担が増えるのかを積極的に証明できていなかったのに対し、574億円経費が削減で切るという具体的な反駁は、否定側の議論より説得力を持っていた。

メリットへの再反駁では、根拠がないという批判へ根拠を示したこと、0.0001%にしかならないという批判に小売店では意味があると数字の意味を再定義したこと、富山村の9万2520円に対しては、必要な金額も小さいので意味があると重要性を復活させた。

重要性に関しては、1への再反駁はなし。2へは悪いことは悪いので少しでも減らすという反駁があった。3へは行動が次につながるという反駁だった。

ここまでをみると、メリットはゴミが減る方向にシフトするということ自体は残っており、その意味づけの部分で議論が応酬されていた。ただ、重要性1に関しては否定河からの反駁があまり有効でなかったので、肯定側第一反駁で特に触れていなかったが、そのままある程度残っている。重要性2はボヤーッとしていて判定理由にはならない。重要性3も行動が大事とはいうものの、それほどの重要性はみえないな、という感じだった。

対してデメリットはターンアラウンドされて、返ってプラン後の方が負担が軽減されるという肯定側の議論の方が具体性で上回っていた。

ということで、否定側第2反駁は、肯定側のターンアラウンドを何とかしないと、この部分だけでもかなり勝敗が決まってしまう状態になっていた。

さあ、否定側第二反駁。新たに抜擢された子だ。ただ、ちょっと上がってしまっていたかなという印象を受けた。

肯定側からのターンに対して反論を全くしなかったため、この部分は肯定側有利のまま残ってしまった。

その他のデメリットへの反駁には再反論したものの、根拠はあまり示されなかった。

メリットをどうまとめるかという部分は特に争点としては評価する必要のない重要性の2に対して反論をしただけだったので、重要性1は残ってしまった。

ということで、この時点で「こりゃ肯定側の勝ちかな」と僕は判定した。生徒には「デメリットのターンだけでも勝てる」といった話をしていた。

さて、肯定側第2反駁。このまとめは自分達の議論と相手の議論がきちんと頭に入っているなということがわかる反駁だった。

まずメリットのまとめ。ゴミが減るという方向に進むことを発生過程1でほとんど争点にならなかった4%現状より減るという立論の議論を指摘しながら確認。そして540億の価値を確認し、決して小さくないと言い切った。

重要性3つにも軽く触れてやる意味があるということを確認した。

デメリットに関しては、第一反駁で述べたことを確認し、ターンアラウンドを引っ張って逆に経営が楽になるし、起こったとしても限られた人数へのデメリットだというダメを押した。

まあ、ほぼ完璧なまとめだったな。

五人の判定は、5−0か、顔ぶれの中で一人存じ上げない方がいらっしゃったので4−1で肯定側の勝ちだろうと予測した。

で、結果、4−1で肯定側の勝ちでした。

やっぱり否定側はレジ袋が減るという議論に乗ってデメリットを提出すると、苦戦をするね。