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ドギーバッグ資料集

ドギーバッグの議論のために収集した資料です。
なお、試合で使う際には必ず原典に当たってからご使用下さい。

_外食産業の食品ロスは300万t。
 平成13年度に320万tだったものが、徐々に減って、18年度には302万tになっている。
 (「食品ロスの削減に向けて」平成21年1月28日 農林水産省総合食料局食品環境対策室谷村栄二)

_日本は食べもののムダが多い
 我が国では、年間約1,800万トン(平成21年度推計)の食品廃棄物が排出されています。このうち、食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は年間約500~800万トン(平成21年度推計。我が国の米の年間収穫量約813万トンに匹敵する数量)と試算されており、食品ロスを減らす取組については、大切な資源の有効活用や環境負荷への配慮の観点から重要です。
(食糧庁「食べもののムダをなくそうプロジェクト」平成24年10月17日)

_食品ロスは食料自給率を引き下げる
「食料自給率が先進国中最低水準にある我が国において、大量の食料品が食べられずに廃棄され、結果として必要以上の食料が輸入されていることになっているとすれば、食料自給率を引き下げる要因の一つになることになる。
世界的な人口増加やアジア諸国の経済発展による食料需要の増大、地球温暖化の進行等世界の食料需給の不安定要因が顕在化する中、食料の安定供給を将来にわたって確保するためには、国内農林水産業及び食品産業の食料供給力強化と併せて、このような食品ロスの実態について改善することが必要である。」
(「食品ロスの削減に向けた検討会報告」平成20年12月)

_飲食店は風評被害を恐れる
「現在、ドギーバッグの普及を進める上で、いちばんネックになっているのは食中毒の問題。実は、飲食店さんの側がこんなにも食中毒を懸念するとは思わなかったんですよ。持ち帰るのはお客さんの側で、持ち帰る間に悪くなったら自分の責任だし、悪くなった食品を食べて食中毒になったら自分の責任だろうと思っていたんです。
ところが、中にはクレームをつける人がいるんですね。お寿司屋さんでお寿司を買って、炎天下、クルマのダッシュボードに数時間も放置して、それを食べておなかを壊したとクレームをつけた人がいる。そういうのがウワサになって、あの店の寿司でおなかを壊した人がいるという風評被害につながりかねない。飲食店さんはそれを恐れるんですね。」
(ウェブ資料ロハスイッチ、ドギーバッグ普及委員会理事長山本啓一郎氏)
「WFP(国連世界食料計画)では80カ国に650万トンの食糧支援を実施しています。
つまり支援食料と同量もしくはそれ以上の食料が食べられずに破棄されているのです。」
一般社団法人ドギバプロジェクト「食料廃棄と食品ロス」)

_日本では食中毒死亡者はほぼ0になっている
「高温多湿が特徴の日本ではかつては食中毒は日常茶飯事だった。中高年以上だと、テカテカの黄土色したハエトリ(蠅取)紙が食堂の天井から幾本もぶら下がっていて、飛び交うハエの死骸が何匹も貼りついている光景を覚えている人も多かろう。アジア途上国では今でも食中毒被害は多いと思われる(図録8040参照。国際比較統計についてはWHOで取り組み中)。しかし、その後日本では、下水道の普及、保健所行政による飲食物管理の徹底、コールドチェーンや防腐防菌技術の普及、不衛生店舗の淘汰、国民の衛生感覚の高まりなどにより食中毒事件は減少、死亡数は激減していくこととなる。

 衛生国化、清潔国化は1960年頃から大きく進展した。1960年代には急速に食中毒死亡者が減少し、1970年代中頃は数十人レベル、そして1980年代後半からは10人未満の年も珍しくなくなった。

 O157による集団感染が大きな社会的事件となった1996年以降、10人以上の食中毒死亡者が出る年は、腸管出血性大腸菌O157(あるいはO111)による食中毒事件が発生した年に限られている。

 2009~10年には食中毒による死者がゼロ人と統計開始以来の快挙となった。(「社会実情データ図録」「食中毒による死亡者数の推移」2012年4月22日。http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1964.html)」

_行政は食品の持ち帰りを禁じている
「早く食べましょう、持ち帰りは厳禁です
サルモネラ大腸菌などの腸内細菌では、1個の菌が、37℃で6時間後には理論上26 万個にも増えてしまいます。腸炎ビブリオは、さらに発育が早く、6時間で700億個に増える計算になります。特に気温の高い夏期には、購入あるいは調理した食品はなるべく早く食べ、また飲食店で出された食品を持ち帰るのは避けましょう。」
東京都健康安全研究センター発行「くらしの健康第12号」2006年6月)

_日本の食料自給率は大幅に低下している
わが国の供給熱量総合食料自給率は、図1にみるよ うに1965年の73%から1975年には54%へと短期間に大 きく低下し、1985年には52%、1995年には43%まで低 下し、その後2007年現在に至るまでおよそ40%の水準で推移している4。わが国の食料の約6割は海外に依 存している状況にある。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』128ページ)

_国際的な食料需給には不安がある
世界的な人口増加や途上国の経済発展に伴う食生活 の高度化、さらには近年におけるバイオエタノールな ど代替エネルギーの開発など食用・原料としての穀物に対する需要は今後ますます増大することが見込まれている。加えて、地球温暖化の進行や土壌劣化・砂漠化、 水資源の不足といった生産面での問題も顕在化しつつ あり、こうした国際食料需給の中長期的な逼迫を考えれば、わが国の低い食料自給率には、相対的な問題とはいえ不安を抱かざるを得ない状況となっている。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』128ページ)

_日本の食料自給率が低下した原因
わが国の食料自給率が大きく低下した要因は、第1 に、自動車等工業製品の輸出によって、わが国に貿易 黒字が異常に蓄積されたことにより、その黒字減らし のために、あるいは諸外国との貿易交渉上の妥協策と して割安な農産物を輸入し、貿易収支を均衡させよう とした国家政策の経緯がある。 第2の要因としては、戦後復興と高度経済成長によ る所得上昇とを社会経済情勢の変化等を背景として食 生活が大きく変化し、国内で自給可能な米の消費量が 大幅に減少する一方、国内生産が困難な飼料穀物(と うもろこし、マイロ6)や油糧原料(大豆、なたね) 等輸入原料を大量に使用する畜産物や油脂類の消費が 大幅に増加したことがあげられる7。 そして第3の要因としては、1950年代後半から1970 年代初頭にかけての高度経済成長期における“食の洋 風化”と“食の外部化”の進展、さらにはその後の外 食や中食産業用における加工・業務用食料需要の高まりに、国内生産が十分に対応しきれなかったことに加え、1985年以降、引き続いた円高基調のもと、表2で
みるように魚介類・畜産物のほかにも生鮮食品でもある野菜や果物の輸入も着実に拡大してきたことが挙げられる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』128〜129ページ)
_食料安全保障とは
食料安全保障とは、「国家がいかなる場合において も、国民が必要とする食料の安定供給を確保し、国民 の生命と健康を守ること」であるとされる9。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』129ページ)

_日本の食料安全保障に関する法律
農林水 産省は1999年に制定した「食料・農業・農村基本法」において、以下のような不測時における食料安全保障 に関する規定を設け、不測時において国が必要な施策を講ずることを明らかにしている。
<「食料・農業・農村基本法」の規定内容>抜粋
(食料の安定供給の確保)
第2条 食料は、人間の生命の維持に欠くことのできないものであり、かつ、健康で充実した生活の基盤として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で 安定的に供給されなければならない。
2項 国民に対する食料の安定的な供給については、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることにかんがみ、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行なわなければならない。
4項 国民が最低限度必要とする食料は、凶作、輸入の途絶等の不測の要因により国における需給が相当の期間著しく逼迫し、又は逼迫するおそれがある場合においても、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう、供給の確保が図られなければならない。
(不測時における食料安全保障) 第19条 国は、第2条4項に規定する場合において、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するため必要があると認めるときは、食料の増産、 流通の制限、その他必要な施策を講ずるものとする。
上記の規定に基づき、国は不測の事態に対する考え方として、平常時において、食料自給率の目標を設定し、その達成に向けて様々な取組みを行ない、わが国の食料供給力を向上させることで、国内外における不作、国際紛争による農産物の輸入の大幅な減少や途絶等の不測の事態が生じた場合に、国民が最低限度必要とする食料の供給の確保を図るものとしている。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』129ページ)


_農産物が輸入されなくなると深刻な食料不足が起こる
わが国の食生活は、国内農地面積469万 ha(2005年)により生産された国産農産物とその 約2.5倍に相当する1,200万 ha の海外の農地により生産された輸入農産物によって支えられているのが現状で ある。このため、農産物の輸入が行なわれなくなった場合、大幅な食料不足が引き起こされることとなる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』129ページ)

_輸入食料の質的変化が起こっている
従来、わが国の輸入食料は、とうもろこし、小麦、 大豆等の穀物や油脂原料が、長年、輸入額の上位を占 めてきたが、1980年代後半以降、国民所得の増大と食 生活の多様化・高度化が進展したことで、エビ、サケ、 マグロ等の高級生鮮魚介類、牛肉、豚肉等の肉類の輸 入が急増し、近年では穀物や油脂原料の輸入量を大幅 に上回るようになってきたといえる。さらに近年にお いては、消費者の食料品に対するブランド志向や健康 志向の高まりを反映して、輸入される食品も、高級生 鮮魚介類だけでなく、高級ワインやブランデーなどの 酒類、高級チョコレートや果実などが大量に輸入され るようになるという質的な変化が顕著である。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』130ページ)

_日本の食品加工業は中国・東南アジアに進出している
野菜加工品や水産加 工品・畜産加工品などの労働集約的な製造プロセスの多くが相対的に安い賃金の東南アジアや中国に移転さ れてきた。他の製造業同様、食品加工分野においても 国内で失われた比較優位を求めて、世界各地に求めた 食材を中国・東南アジアなどの低賃金国に持ち込み加 工し、その大部分を日本へ輸出するというわが国の食 品加工産業に特徴的な「グローバル化パターン」が確立されつつあるといえる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』130ページ)

_日本の企業進出や食品輸入が相手国に深刻なダメージを与えている
急速な日本企業の海外進出や食品輸入には相手国の国益や地域住民の利益を犠牲にした進出も少なくない。より具体的には、経済力を背景にしたわが国のカネ任せの食料輸入や東南アジアにおけるエビやうなぎの養殖事業に代表される乱獲や無理な増産によって農地転換やマングローブ林などの貴重な自然資源や水産資源を破壊・枯渇させていることなどが指摘されている。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』131ページ)

_日本の食料輸入料は世界3位
農林水産省の「海外食料需給レポート2006」によれば、2004年の世界の人口63.8億人に占めるわが国の人口シェアはわずか2%だが、世界の農水産物輸入に占めるシェア(金額ベース)は、人口シェアの約5倍の9.8%を占め、EU、米国に次ぎ、世界第3位となっている。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』131ページ)

_日本の輸入食料の内訳
品目別に見ると、とうもろこし(世界輸入シェア23.6%)、肉類(同25.5%)が世界第1位となり、小麦 (同6.9%)、大豆(同9.4%)はそれぞれ、中国、EUに次ぎ第3位となっている。また、2005年のわが国の農産物輸入先は、米国が30.9%と第1位を占め、中国 (12.9%)、オーストラリア(9.9%)、カナダ(6.2%)、タイ(5.4%)となっており、上位5カ国で農産物輸入の約3分の2を占めている 。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』131ページ)

_日本は特定の国に食料を依存している
さらにわが国の農水産物の輸入構造は、米国をはじ めとした特定国への依存度が高いという特徴を持ち、特に、今後世界的に需要増加が見込まれる飼料穀物や油脂種子でその傾向が強くなっている。このため、輸入に多くを依存しているわが国の食料供給は、国際需給の変動や輸入先の輸出政策の影響を受けやすい状況となっている
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』131ページ)

_日本の食生活は成熟期に入っている
図3は、わが国のエンゲル係数の推移をみたものである。これを見ると1965年の38.1%から漸次低下し、2005年には22.7%にまで低下していることがわかる。この40年間に15.4%も低下したことになるが、1995年から2005年の10年間をみてみれば、1995年の23.7%か1%のみの低下となっており、この10年間のエンゲル係数の動きから推察すれば、わが国の食生活は既に成熟期に入っているとものと考えられる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』131ページ)

1970年には2,529 キロカロリー に、1986年にはついに2,600 キロカロリーの大台に乗 せ、2000年には2,645 キロカロリーとなるが、2005年 では若干低下し、2,573 キロカロリー となっている。 基本的には日本人の食料消費構造は1人1日当たり約 2,600 キロカロリーといわれているので、食料消費を 量的にみた場合には既に飽和水準に達していると思わ れ、栄養面からみてもわが国の食生活は成熟期に入っていると考えられる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』133ページ)

_家計に占める加工食品と外食の割合が増加している
家計食料費支出の内訳の変化についても、穀物と生鮮食品の割合は次第に低下し、逆に、加工食品と外食の割合が着実に増加している。その結果、2005年には、穀物と生鮮食品を合わせた支出割合が25.5%であるのに対し、加工食品支出52.9%、外食支出が21.6%になり、両者を合計すると74.5%を占め、冷凍食品に代表される加工食品やハンバーガーチェーン等に代表される「外食」がわが国の食生活に深く浸透していることがわかる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』132ページ)

_所得の上昇が食生活の変化をもたらした
戦後わが国における食生活の変化をもたらした最大 の要因は、経済成長による国民所得の上昇であること は間違いないであろう。所得上昇によって、食料消費 は単なる栄養摂取から、それ自体が豊かな生活の一要 素としての、文化的、娯楽的な性格を持つようになっ たといえる。また、所得の上昇は高品質の生鮮食品の 消費を増加させることもあるが、多くは、食生活の高付加価値化、すなわち、加工食品の消費や外食の増加ももたらしたといえる。その結果として食生活の高級化、多様化、簡便化、健康・安全志向等の変化が急速にもたらされることになったといえる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』133ページ)

_日本の食生活は変化し続けている
わが国の食生活は、食の外部化、国際化が年々進展していく中で、食料自給率の低下問題、輸入食糧問題、 食の安全・健康問題、その他、規格化による味覚の画一化等、様々な問題をかかえながら変化し続けている。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』133ページ)

_今後朝食も外で食べるようになる
女性の社会進出、高齢化社会の進展等から食の簡便化が進み、現在外部化率がもっとも高い昼食・夕食に加え、今後は朝食の分野にまで、わが国の食の外部化が広まってくることも想定される。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』134ページ)

_過程や学校での食育が重要になる
しかしながら、近年は、こうした外部化に対して様々な問題が指摘され始めている。その意味で、親から子への家庭内における食育や教育現場での食育を今後、如何に正しく行なっていくかも重要な課題であるといえる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』134ページ)

_食品ロスには3段階ある
 大量の食料を海外からの輸入に頼っているわが国であるが、その一方では、行き過ぎた鮮度志向、賞味期限切れ、さらには極端な例では商品そのものには何ら異常がないにもかかわらず、輸送中のダンボール箱等外装の汚れ・一部破損による商品本体の廃棄及び食品製造・加工・販売の際に起こる廃棄や外食・家庭での調理くず・食べ残しなど、消費されないまま毎日大量の「食品廃棄物」(食品ロス)を発生させていることも事実である。
 この「食品廃棄物」を分類すると、食品製造段階で発生する動植物性残渣などの「産業廃棄物」と卸売・小売等の食品流通段階で発生す売れ残りや返品、そして外食・家庭での食事等消費段階で発生する調理くずや食べ残しなどからなるの「一般廃棄物」に分けることができる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』134ページ)
2005年で食品製造業からの産業廃棄物は495万t、流通段階での一般廃棄物が337万t、外食産業からの一般廃棄物が304万tと合計で1138万tとなっている。その他、一般家庭からの生ゴミとして出される食品廃棄物は環境省の「2007年版環境・循環型社会白書」では2004年で1070万tと試算されているので、わが国の年間食品廃棄物の総合計量は約2200万tとなる。この廃棄物量は2005年のわが国食料輸入総量5850万tの約38%、国内食料総生産量6110万tの約36%を占めるという相当な発生量である。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』134ページ)
_国民一人当たり1日一食分がムダになっている
 図5は、農林水産省による「国内総供給カロリー」と厚生労働省が行っている「国民栄養調査」から一人当たり実際の「国内総摂取カロリー」との差から計算した「マクロ的食品ロス」の推移である。
(中略)
国民1人・1日当たりの供給熱量と摂取熱量との熱量差を見てみると1975年の326キロカロリーが2004年では718キロカロリーまで広がっており、この熱量差は2004年の摂取熱量差1902キロカロリーの約38%を占め、日本人の食生活1日3食のうち、1食分以上の熱量が無駄になっていることになる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』134〜135ページ)

 

_外食産業の食べ残しの割合
2006年に行なわれた外食産業を対象にした調査では、食堂・レストランにおける食べ残し量の割合(食べ残し量÷食品使用量)は3.1%、飲料類が伴う結婚披露宴では22.5%、宴会が15.2%、宿泊施設では13.0%となっている。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』135ページ)

_消費者への意識改革を国が行う必要がある
「食品ロス統計調査」の結果からみても、食べ残しや 食べることもせず捨てるという行動は、わが国の食生 活が如何に飽食になっているかをあらわしているとい える。この点からも大人、子どもを含めたすべての消 費者を対象にした食育による食生活の見直しが国家レベルで必要となってきているといえよう。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』135ページ)

_食品リサイクル
食品の売れ残りや食べ残し、そして食品の製造・流 通過程においても大量に発生している「食品廃棄物」 の抑制と減量化により最終的に処分量を減少させると ともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用するた め、食品循環資源の再生利用等にかかわる各主体の責 務、食品関連事業者基準に基づく再生利用等の実施を 内容とする「食品リサイクル法」が2000年6月に制定 された。この法律において、食品関連事業者及び消費 者は食品廃棄物の発生抑制に努め、特に食品関連事業 者は再生利用の基準に従い、再生利用に取り組むものとされた。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』135ページ)

_食品リサイクル法の欠陥
電化製品等を対象とした他のリサイクル 法では、生産者は自らの製品の製造・販売段階での廃 棄物だけでなく消費者に製品が渡って、廃棄された後 まで責任を負うべきという「拡大生産者責任」を一般 原則として定めているのに対し、「食品リサイクル法」 では、その対象物を「産業廃棄物」、「一般廃棄物」(事業系・家庭系)としていながらも、実効的な措置とし ては食品関連業者において法施行後5年程度の後に年 間排出量の20%削減を計画化させることだけとなって おり、「拡大生産者責任」の原則は適用されておらず、 最終消費段階で廃棄された食品廃棄物に対する生産者 の責任は問われていない。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』135ページ)

_食品リサイクル法は消費者に認識されていない
食品の場合は、購入時の形態が相当程度加工されて 廃棄されるという事情もあるが、「食品リサイクル法」 が食品事業者にとっては重要な施策として認識されてはいても、消費段階での回収が行われないために消費者にはほとんど認識されていないというのが現状である。「食品廃棄物」の発生抑制にはその消費段階での 取組みが今後の重要な要素となってくることから、一 般家庭に食品を供給する食品企業と消費者との連携が 欠かせないといえる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』135ページ)

_食品関連事業での減量化の取り組みは進んでいない
農林水産省の「2005年食品循環資源の再生利用等実 態調査」の結果によれば、2005年の食品循環資源の肥 料、飼料等への再生利用率は食品産業全体で59%、食 品廃棄物の発生を未然に防ぐ抑制割合は4%、食品廃 棄物の量を脱水、乾燥、発酵等の方法により減少させ る減量率は3%となっている。再生利用率については 前年実績の51%に比べ8%上昇しているが、発生の抑 制割合と減量化率については、前年並みという結果で あった。 またこの調査では食品関連事業所の食品廃棄物の発生への抑制、減量化、再生利用への取組み姿勢についても調査されているが、製造量に合わせたロスの出な い仕入等、発生の事前抑制に取り組んでいる事業所は 食品産業全体で41%、減量化への取組みを行なっている事業所は全体で7%、再生利用への取組みは全体の28%という結果にとどまっている。このように食品産業全体としては、発生抑制・減量化・再生利用化いずれも未だ大多数の企業において取組み体制が出来ていないというのが現状である。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』135ページ)

_世界の援助食料は半減している
国連世界食糧計画」(WFP: World Food Program) によれば、世界では現在およそ8億5千万人が栄養失 調や飢えに苦しんでいる。その一方で、世界の援助食糧は全体で1999年の1,500万t から2004年には750万t にまで半減してしまい、飢餓救済に向けた国際社会の対応が急務となっている。このような状況の中、わが 国の食品廃棄量が年間2,200万t を超えているという現実は、生産から消費に至るまでのわが国の「食産業」「食ビジネス」のあり方が問われる大きな課題である。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』136ページ)

_BRICsの台頭が食料需要を大幅に増やす
近年、世界のエネルギー・鉱物資源の国際価格が原油を筆頭に鉄、非鉄、石炭など高騰を続けている。そ してこれら資源価格の高騰の動きに合わせるように、小麦、とうもろこし、大豆等の穀物国際価格も2006年 より上昇し続けている。このような穀物を含め世界の資源価格高騰の背景には、中東産油国を中心とした政府系投資ファンドや一般投機資金の国際資源市場への大量流入の動きに加え、世界経済の成長の牽引力が、人口8億人弱の先進諸国から、人口約30億人を抱える BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に移ったことにあるという見方がある。今後、これら人口大国が本格的な工業化の過程に突入し、猛スピードで先進諸国への道を進み始めれば、彼等の所得の向上はその食生活を変え、量ばかりでなく、質の変化も伴って食料需要の飛躍的な増大を招きかねない。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』136ページ)


_食料をめぐる争奪戦が起こる
世界の食料需給バランスの不均衡が予測される状況の中、近い将来、世界では石油資源と同様に、限られた食料をめぐって国家間における資源争奪が起こる懸念さえ出てきている。この状況下で、これまでと同様に「高い値段を払えば、食料はいくらでも手に入るという」ある意味、市場メカニズムに任せるだけではこの「世界規模での食料争奪戦」を乗り切ることは到底できないかもしれない。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』136ページ)

_国家として、食料安全保障のあり方が問われている
わが国がこれまでと同様に必要食料の60%以上を海外からの輸入食料に頼り続けるのか、それとも輸入食料より割高となるが安全性・信頼性が確認し易い国産 食料へ軸足を移していくのか、食料安全保障の視点からも近い将来、政府・国民を挙げての選択が迫られているといえる。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』136ページ)

_食の課題への対応は待ったなし
今こそ、わが国の低い食料自給率、輸入食料への高依存率、WTO協定に基づく国際協議、FTA、バイオテクノロジーを含めた農業技術、地球温暖化進展への環境対応、農畜水産業における後継者不足に対応する人材の育成、食の安全性・信頼性への取組み、飽食とそれがもたらす食品廃棄など、わが国のいわゆる「食」 が現在抱えている諸課題への対応が急がれているといわざるを得ない。
「わが国の食料自給率と食品ロスの問題について」(名古屋文理大学 情報文化学部 社会情報学科助教授須藤 裕之、菱田次孝著、2010年『名古屋文理大学紀要第10号』136ページ)
周知のように、日本は食料の60%を海外に依存しなければ現状の食生活を維持できないにもかかわらず、その一方で廃棄や食べ残しによる浪費が顕在化してきたことは、食事の重点が必要なカロリーを接種するという生理的な部分から、食事を楽しむという享楽的な部分へ移ったことの現れである。
(「食料ロスの増加と食生活の変化」『神戸大学農業経済』2004年3月、神戸大学大学院農学研究科 食料共生システム学専攻教授草刈仁・阪本聡子 43ページ) 
_家族機能の弱体化によって食品ロスが増加した
家族のなかのモニター機能が弱まり、個食による偏食や欠食など、食べ残しや廃棄につながる機会が増加した。
(「食料ロスの増加と食生活の変化」『神戸大学農業経済』2004年3月、神戸大学大学院農学研究科 食料共生システム学専攻教授草刈仁・阪本聡子 46ページ)

_冷蔵庫の大型化が食品ロスの原因
家電製品の性能向上については、なかでも冷蔵庫の大容量化が買い物頻度を減少させ、一度の買い物で大量の食品を購入することが、食品廃棄量の増加につながっていると考えられる。
(「食料ロスの増加と食生活の変化」『神戸大学農業経済』2004年3月、神戸大学大学院農学研究科 食料共生システム学専攻教授草刈仁・阪本聡子 46ページ)

_食料ロスの増加の原因
『食料需給表』の「供給純食料」と『国民栄養調査』の「栄養素等摂取量」の差を食料ロスと定義すると、食料ロスは経年的に増加している。食品の廃棄や食べ残しなど、食料のロスがなぜ増加してきたのか、日本人の食生活との関わりから検討することがここでの課題であった。賃金率の上昇がもたらす所得効果と代替効果によって、食生活の高級化、家族機能の弱体化、家事時間の減少が促進され、それらによって食料ロスが増加するという仮説1と、保健医療費の上昇に現れた健康に対する意識の高まりが食料ロスを増加させるという仮説Ⅱのいずれもが、実証分析によって支持された。
(「食料ロスの増加と食生活の変化」『神戸大学農業経済』2004年3月、神戸大学大学院農学研究科 食料共生システム学専攻教授草刈仁・阪本聡子 48ページ)

_精神状態によって食べ残し量は変化する
本稿では全寮制の中等教育学校における食生活に関するアンケート調 査の自由記述内容について分析を行った。その結果, 食生活に感謝の念を抱いているグループ,自身の食生活を肯定しているグループ,食生活に何らかの目標を持っているグループでは残食が平均より少なく, 自身の食生活を反省しているグループ,不満を抱いているグループ,心配しているグループでは残食が平均より多いことが明らかとなった。
(「中等教育学校における食生活に関する調査についての考察」太成学院大学人間学部 人間文化学科 人間学部教授八木一成・橋本千穂『太成学院大学紀要』13, 137-144, 2011-03)

_食品ロスの割合平成21年度と食育の意義
農林水産省による平成 21 年度食品ロス統計調査 の結果によると,一般家庭での食品ロス率は 3.7%, 食 堂・レストランでは3.2%,結婚披露宴では13.7%,宴会では10.7%,宿泊施設では14.8%であった。カロリーベースでの食糧自給率が約40%である日本において,食育の中で残食を減らす取り組みは重要である。
(「中等教育学校における食生活に関する調査についての考察」太成学院大学人間学部 人間文化学科 人間学部教授八木一成・橋本千穂『太成学院大学紀要』13, 137-144, 2011-03)

_食育イベントの長期的効果は検証されていない
2005年に食育基本法が制定されて以来,学校給食をはじめ,食品メーカー主導の食育イベントを含め様々な取り組みが行われてきたが,その長期的な効果はほとんど検証されていない。
(「中等教育学校における食生活に関する調査についての考察」太成学院大学人間学部 人間文化学科 人間学部教授八木一成・橋本千穂『太成学院大学紀要』13, 137-144, 2011-03)

 

_今治市食育効果の検証
愛媛県今治市では地域でとれた有機農産物を学校給食に積極的に導入することを食育の一環と捉え,それと並行して授業でも調理実習や農作業などを行っている。有機農産物を導入する今治市立花地区の調理場が完成した1988年当時に小学校4年生だった子どもたちが26歳に達した2003年にアンケート調査を実施し,地場産給食の食育効果について検証している。調査対象は立花地区で有機農産物を使った学校給食を食べたグループ(立花グループ),立花地区以外の今治市内の地元産給食を食べたグループ(市内グループ),今治市以外の学校給食を食べたグループ(市外グループ)の1525人に郵送し,412人(27%)から回答を得ている。その結果,食材を選ぶときに注意していることとして,立花グループでは,「産地や生産者が確かであることを重視」,「なるべく地元産であることを重視」,「包装などのごみが出にくいことを重視」の項目では他のグループよりポイントが高く,有機農産物や地場産食材を導入していない市外グループでは「,値段が安いことを重視」,「見た目がきれいで調理に手間がかからないことを重視」,「特に何も気にしていない」の項目が他のグループよりポイントが高かった。調査対象の立花地区の小学生が学校給食を食べていた時期は単に地場産の有機農産物を食材として使っていただけであり,今日のように食材や献立の説明は行われていない。それにもかかわらず,毎日の食習慣の積み重ねにより成人後の食生活にも影響を及ぼしていると指摘している。
(「中等教育学校における食生活に関する調査についての考察」太成学院大学人間学部 人間文化学科 人間学部教授八木一成・橋本千穂『太成学院大学紀要』13, 137-144, 2011-03)

_継続した食育が将来の食に対する意識を高める
単発のイベント的な食育ではなく,幼少から日常の食事に関したしつけに始まる実体験が将来の食に対する意識の方向性を定めると思われる。今治市の例からも,有機農産物や地場産食材の給食を食べていた小学生が卒業後10年以上経過しても食材を選ぶ際に産地や生産者を意識していることとも符合する。
(「中等教育学校における食生活に関する調査についての考察」太成学院大学人間学部 人間文化学科 人間学部教授八木一成・橋本千穂『太成学院大学紀要』13, 137-144, 2011-03)

_最近の食中毒の傾向
この3年間の食中毒統計を見ると、過去において日本の3大食中毒原因菌とされていたサルモネラ腸炎ビブリオおよび大腸菌による発生は減少している。一方、カンピロバクターおよびノロウイルスによる食中毒が発生件数および患者数ともに多くを占めるようになってきている。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』8ページ)

_細菌性食中毒は3種類
細菌性食中毒は、感染型、毒素型、生体内毒素型の3種類に分類されている。感染型は食品中で増殖した原因菌を摂取することによって、原因菌が腸管内で増殖し腸管粘膜上皮細胞に障害を受けることにより発生する。毒素型は食品中で原因菌が増殖するとともに毒素を産生し、この毒素を摂取することにより発生する。生体内毒素型は、原因菌(芽胞)を含む食品を摂取することによって、原因菌が腸内で増殖するとともに毒素を産生し、この毒素により発生する。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』8ページ)

_食中毒対策
細菌性食中毒に対しては、細菌性食中毒防止三原則がある。その内容は①微生物をつけない(汚染の防止)、②微生物を増やさない(増殖抑制)、③微生物を殺す(殺菌)である。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』8ページ)

_食中毒予防の具体策
 食品を購入する場合、①生鮮食品は新鮮な物を購入、②消費期限の確認、③冷蔵・冷凍の必要なものは、早く持ち帰り冷蔵・冷凍すること、である。
 食品を保存する場合、①冷蔵庫は詰めすぎない(7割程度)、②冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はー15℃以下、③肉、魚介類はビニール袋に入れ、下の方に置くこと、である。
(中略)
 調理をする場合、加熱調理する食品は十分に火を通すことである。10年前に腸管出血性大腸菌O157による食中毒が起こった時には75℃、1分以上の加熱と言われていたが、後述するノロウイルスを対象とする場合には85℃、1分以上の加熱が必要である。
 食事をする場合、清潔な手、器具、食器を使用することである。
 残った食品を取り扱う場合、①清潔な容器に入れすぐに冷蔵、②食品を温め直すときは十分に加熱する、③少しでもあやしいと思ったら捨てる、である。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』9〜10ページ)

_ノロウイルスはほとんどの食品が原因となる
 ノロウイルス食中毒は、11月から3月に多発することから、原因は主にカキを含む二枚貝とされてきたが、これらが原因となる食中毒発生頻度は減少傾向にあり、最近では約16%である。ノロウイルス食中毒発生経路は、①上述の汚染された二枚貝などの摂取、②汚染された水の摂取や、③ヒトを介して汚染された食品の摂取などで、近年は、汚染された食品の摂取が主な原因となっている。この汚染された食品は、調理された肉やパンなど、ほとんどの食品(加熱済み食品も含む)である。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』10ページ)

_ノロウイルスは免疫効果がない
ノロウイルスは種類が多いために、インフルエンザのように免疫効果はなく、一度罹患しても2度、3度と感染する。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』10ページ)

_ノロウイルスには抗生物質は効かない
ノロウイルス食中毒は、細菌性食中毒とは異なり、抗生物質による治療はできない。したがって、症状がなくなることを待つのみであるが、水分の補給を十分に行うことが重要である。
_手洗いをしないと食中毒にかかる
通常、ヒトの手指には104〜105個程度の微生物が存在し、ヒトの体を他の微生物から保護する一方で、食中毒の原因となる場合もある。また、生活環境にも微生物が存在している。例えば、トイレの取っ手の大腸菌検出率は、公衆トイレで80%、飲食店トイレで90%、家庭トイレで70%と非常に高くなっている。この大腸菌群は加熱調理済み食品では法律上陰性でなければならないとされている衛生状態の指標菌である。この菌群が汚染されていることは、他の食中毒菌やノロウイルスに汚染されていることを示している。したがって、常にヒトの手指は食中毒原因菌に汚染されている可能性が高く、食中毒に罹らないためにも手洗いがが需要(ママ)となる。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』12ページ)

_手洗い後細菌は2.5倍に増える
 手洗いは石鹸を利用して、手掌部をこすることが推奨されている。しかし、この行為により手掌部の菌数は、泡立て時間が長くなると増加する傾向を示し、手洗い前に比べ、60秒後にはその2.5倍に上昇する。
(「食中毒に罹らないために」石川県立大学食品科学科教授 矢野俊博 『楽しい食生活を送るために,平成19年度石川県立大学公開講座』12ページ)

_皮膚の隠れている部分の細菌が、泡と一緒に出てくる
 Montesらは皮膚の細菌は皮膚表面だけではなく毛根や角質細胞の間にも存在し、それらは皮脂と共に存在していることを報告しており、今回の実験ではこれらの細菌が石鹸を泡立て擦り合せることにより皮膚表面に湧出したものと考えられる。
(「手洗い過程における手指の細菌数の変化から見た有効な石鹸と流水による手洗いの検討」兵庫県立看護大学基礎看護講座 山本恭子他『環境感染』2002年4月332ページ)

_持ち帰れるという心理からもう一品頼んでしまう
欧米ではすでにデータとして「持ち帰れる」と言う心理から、主食プラスもう一品、と多めに注文をする傾向が見られます。持ち帰れれば、今夜の夕食の一品に…明日のお弁当に…と言う気持ちが働き、お客様は余分にオーダーを入れるのです。
一般社団法人ドギバプロジェクト「飲食業会での活動」)

 

_日本でも一品よけいに頼む客が増えた
2008年10月のドギーバッグ導入後、「いろいろ食べたいが、量は食べられない」という年配客、女性客からの“あと1品”の注文が増えた。
(日経レストランオンライン 2009年6月18日)

_業務用ドギーバッグは1000個で350円
 レアック・ジャパンのドギーバッグは雑貨店でも大小セットで約800円で売られている。洗って繰り返し使えるので、有料でもお客の理解を得やすい。有料なら梱包材のコストも浮く。業務用のオーダーは50個からで価格は見積もり対応。オリジナルボックスは1000個から受注し、大は1個350円〜、小330円〜で販売。
(日経レストランオンライン 2009年6月18日)

_500円でもお客は利用する
東京・恵比寿のイタリア料理店「オステリア ルッカオーナーシェフの桝谷周一郎氏は、「深夜のお客様はお酒の勢いで注文し過ぎて残すことがあり、開店当初からそうしたお客様や、食べ残しがちな会食客や年配客に持ち帰りを勧めていた」と言う。
海外での修業経験が豊富な桝谷氏は、「海外では、注文した料理は食べ残した分もお客のものという考えがあり、持ち帰りは当たり前」と話す。ただし、内臓類や生ものは説明して断る。一声かけることで、今までトラブルは皆無だ。
以前はアルミホイルなどを使っていたが、雑貨販売のレアック・ジャパンが、2008年10月に新発売した再利用可能なドギーバッグをアピールするため、同店に試験的に無料でバッグを提供。そのバッグを使い始めたところ、「スマートで良い」、「持ち帰りを頼みやすくなった」と、お客の反応は上々で、以前は月に2、3件だった持ち帰りは10件ほどに増えた。
 現在では1個500円でドギーバッグを販売。持ち帰りの件数は減るどころか増えている。ポリプロピレン製のバッグは、洗うことで繰り返し使える。折りたたみ式なので、カバンに入れて持ち歩ける、弁当箱として使えると好評だ。「オリジナルデザインなので、お土産用アイテムとしても人気があり、売り上げにも貢献している」(桝谷氏)。
(日経レストランオンライン 2009年6月18日)

_食中毒対策
 食中毒は、細菌の増殖を防ぐことが基本となります。したがって、持ち帰りの基本原則は、細菌を「つけない」「増やさない」「殺菌」の3つに集約されます。
(「ドギーバッグ「お持ち帰り」ガイドライン」2010年3月 ドギーバッグ普及委員会 10ページ)
_食中毒菌は無色無臭
食中毒菌は腐敗菌と異なり、増殖しても色や味が変わらず、匂いもつきません。
(「ドギーバッグ「お持ち帰り」ガイドライン」2010年3月 ドギーバッグ普及委員会 12ページ)