ディベート×演劇

「子どもらが 自分の場だと 思う所に 花が咲く」(徳村彰)を、学校現場で目指します。

「魔空の森ヘックスウッド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作

魔空の森ヘックスウッド

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズという人は、どうしてこんなに面白い本を、次から次へと書けるのだろう。大学ではあの「指輪物語」のトールキン教授に学んで、結婚後にファンタジーを書き始めたと言う。その時37歳!

 「魔空の森」の「魔空」とは、「魔法」であり、「時空」である。舞台は地球でありながら、銀河系全体を巻き込んだ壮大なドラマが展開する。しかもそこに、中世のお城や騎士やドラゴンも登場してくる。

 空想好きな病弱な女の子が、頭の中に4人の人物を作り上げて、その一人一人と心の中で会話をする。そんなことって、実際にありそうだし、違和感なく受け入れて読み進めて行くと、実はそれが時空を超えて実在の人物を会話をしていたなんて話に発展して行く。

 ヤマハ製のロボットなんてのが出てきて、「どうせならHONDAにすればよかったのに」なんて思っていると、ここにも実は伏線が張られていたりする。

 錯綜する時間、混乱する記憶、入り乱れる事件。もつれにもつれた話の筋が、最後には見事に一点に収斂して行く。毎度のことながら、この筋運びの巧みさにはほれぼれとしてしまう。

 しかも単に痛快な話、で終わらない所がいい。今回も生きていくことへの「苦み」といったものが感じられる。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品の中でも、これはかなり上位に入れられる作品だと思う。