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敗者復活トーナメント

さて、予選1回戦、2回戦の敗者8チームによる敗者復活戦である。

初戦は杉並区立和田中学校。池田さんが率いる学校だ。

いやー、池田さんとは瑞雲中学校の頃以来の対戦。瑞雲中から楢原中へ、そして和田中。どこへ行ってもディベート部を作って参加してくる池田さん。おとといは文部大臣相手にディベートの授業をしたという。

実は、うちの中学生も、池田さんにディベートの手ほどきを受けている。ということで、兄弟弟子対決でもある。

じゃんけんは負けで否定側。初めて否定側だ。前の試合で泣いていたKさんが、否定側では立論に回る。気持ちを切り替え、気合いを入れたと見えて、否定側なのに、「始めます」の声で壇上に上がってしまう。

池田さんから「じゃあ、ちょっとみんな深呼吸しましょう」の声がかかる。

メリットは「環境問題解決」と「ゴミが減る」。CO2の減少も、ゴミの減少も、1つの資料をもとにしていた。

ここで、この一週間繰り返してきた練習の成果が出た。

どんな練習かというと、「型を覚える」という練習だ。「トルシエジャパン型練習法」とでも名付けようか。

ディベートを初めて一ヶ月。そんな生徒たちに、どんな練習をさせたらいいか。ヒントは池田さんの「シナリオディベート」だった。

手元にあったフローシート、ネットで集めた立論、そういったものの全てについて、質疑、反駁のシナリオを作った。そして、それを時間内に読めるように繰り返し繰り返し練習した。

ただし、このシナリオは、そのまま試合では使えない。なぜなら、相手がまったく同じ立論で来ることはまずないからだ。

ただ、3分なら3分という時間で最大限こういうことをしなくてはいけないという、マックスの量を体感させるように心がけた。肯定側第一反駁、否定側第二反駁は、相手からの反駁が非常に厚い場合を想定したシナリオを作った。

そうした練習を水曜日、木曜日、金曜日と行い、土曜日は高校生に相手になってもらって練習試合を肯定、否定一回ずつやった。

実際に試合をやってみると、一生懸命読めるようにしたシナリオでは、対応できないような反応が返ってきて、結局沈黙してしまうこともあった。

そうした経験をさせた上で、「この部分は、どんな時でも使えるね」「ここだけはちゃんと守らないと勝てないね」といったことを確認しておいた。

さて、否定側の質疑である。相手が減る根拠としている資料への質問をすることができた。その上で、否定側第1反駁になった。

彼女はその資料について、4点の反駁を展開した。しかも、3点目の反駁は、シナリオではなく、自分で考えて、その場で展開したものだった。

型を覚えた上で、自分の色を出して行く。おそらく、前の試合で肯定側第一反駁で自分の反駁をしたTさんが、とってもうれしそうにしていたのを横で見ていて刺激されたのだと思う。

その他にも資料付きの反駁を1点、論理的理由づけの反駁を1点、合計6点の反駁を展開した。

これはかなり相手にプレッシャーをかけたようだった。

デメリットには3点反駁があったが、メリットの肝になる資料への反駁への返しがほとんできなかった。

これで、否定側第二反駁でうまくまとめられれば、ほぼ勝利は手中にできる。

ところが、ここでハプニングが起こってしまった。

勇んで壇上に上がったTさんが、なんと「頭の中が真っ白」になってしまったのである。

僕も経験があるが、手にブリーフを持ち、書き込んだフローも持っているのに、見えなくなってしまうのだ。

時間ばかりが経っていく。それでも最後に絞り出すように、4点ぽつんぽつんと肯定側のへの反駁のまとめをすることができた。

これで試合の行方はちょっと微妙になった。最後にきっちりまとめられると、第1反駁でのアドバンテージが吹っ飛ぶかもしれない。

しかし、向うもやっぱり上がっていたみたいである。結局有効なまとめができずに終わってしまったようだった。

講評は安藤さん。上がった時にどうするかということや、ディベートって何だろう、といった一般論からはじめて、丁寧にコメントをしてくれた。

で、結果だけれど、第一反駁が効いて、3−0で勝利することができた。

次は、和田村立和田中学校。和田中の次が、また和田中である。和田中とは去年の予選でも対戦している。先生と生徒が仲良く、笑いの絶えないチームだ。しかも、あの大久保さんの結城中を破って勝ち上がってきたと言う。大久保さんが「和田中はいいぞ」と一言言い残して行く。たしかに去年も非常にいい議論をしていた。王道を行く、という感じのチームだ。

じゃんけんでまた負けて、否定側を引く。応援に来てくれた高校生が、和田中と結城中のフローシートを取ってくれていた。

運良く肯定側だ。

メリットは「ゴミが減る」と「石油消費とCO2の削減」。

定番のメリットだ。しかし、フローを見ると、レジ袋が減るという資料に、「これが出てきたらヤバいぞ」と思っていた、おそらく最強の資料を入れてきている。

これが出てきたら、ちょっと難しいな、と思っていた。

ネット上で拾ってきた肯定側立論で一番強いと思ったものが、この資料を使っていた。それで、デメリットとの合わせワザで反駁をするという作戦を立てていた。しかし、これはけっこう忙しい。しかも、質疑との連携が欠かせない。

練習は繰り返していたが、練習したものとまったく同じというわけではない。果たして構造が同じで、資料が同じということに気がつくか。

肯定側立論を聞きながら、そんなことを考えていた。

ところが、否定側第一反駁のIさんは、それに気がついたようだった。

立論の後の準備時間で、質疑のK’さんに一生懸命指示をしている。ふんふんとうなずいて聞いているK'さん。

第一反駁のIさんは、授業中はほとんど発言しない大人しい生徒だという。池田さんの講座に参加した後も「むずかしいですね」と言っていた。

そんな彼女だが、議論を書き取って、分析する力は持っていると感じていた。

ここでも彼女が6点、反駁をしてくれた。

これが効いた。最強の資料には資料付きで3点も反駁をした。相手は1つに再反駁するのが精一杯だった。
これで第二反駁が楽になった。この試合ではちょっと口ごもる所はあったけれど、最後に価値の比較までしてまとめることができた。

おかげで3−0の勝利。

とうとう、あと一つ勝ったら、全国大会という所までやってきた。