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キャスティング

1 1月8、9日の都大会の前、1 1月1日、3日は本校の文化祭である「記念祭」が行われる。
ここで『ピアノ』を上演するが、今年は中高合同公演と高校の別の芝居も上演する。
で、今日は高校の一回だけの公演のためのオーデiションというか、キャスティングを行った。
脚本の指定した箇所を全員に順番に読んでもらい、その表現を見て、私が決定した。

正直かなり悩んだ。

男役と女役の身長のバランスとか、声質の近い人をどう配置するかとか、コミカルな場面での言葉のキャッチボールがうまくできるかとか。

自分でこれがベストと思うキャスティングにした。

『ピアノ』とは全く違う芝居。

S Eも使らないと。

山Pありがとう

登場人物の性格は変わらないという話から発展して、設定が感動を呼ぶ場合として、「明日のジョー」の力石徹の例を話す。
原作者の梶原一騎さんがの意図に反して、矢吹ジョーと力石徹の体格が違いすぎたため、力石が過酷な減量をすることになり、あの壮絶な戦いから力石の死に繋がった。
「明日のジョー」を知ってるか聞いたら、映画で知っている生徒がけっこういた。
作家の仕事は登場人物が動かざるを得ない状況を作ること。

けっこう納得してくれたようだ。

登場人物を考える

作家の時間、4時間目に入ったクラス。ミニレッスンは「登場人物を考える」。
私が脚本を書く準備に作成した人物の性格、家族構成、宗教、特技、弱点をまとめた一覧表を配布する。
既成の脚本を読む時に、登場人物の社会的背景、教育的背景、宗教的背景を分析するように教わった。その裏返しだ。

井上ー樹さんのシナリオワークショップを受けた時、登場人物の性格は変わらない、変えてはいけないと教わった。
例えばなまけ者の桃太郎という性格にしたら、なまけ者という性格は変わらない。
鬼が出没しても「面倒くさい」から鬼退治には簡単には出かけない。
出かけるためには「面倒くさい」を克服するだけの状況が生まれないといけない。
こうして事件が起こり、嫌々ながら桃太郎は鬼退治に出かけていく。
しかし、前向きな姿勢は見せることなく、隙あらば逃げだす方へ流されていく。

そうすると周りの犬、猿、キジは何とかして桃太郎を鬼ヶ島まで引っぱって行き、鬼退治を成功させないとならない。

かくしてなまけ者の桃太郎と世話焼きの3匹(?)の珍道中が始まる・・・。

と、ここまで丁寧には説明しなかった。

そのためか、どうも私の言葉が上っ面を滑っていってしまった感じがした。

次回主人公を行動へと駆り立てる状況の設定の重要性とともにミニレッスンをしよう。

ひたすら書く時間は、かなり分量を書けて、原稿用紙に換算すると何枚くらいかと聞きに来たのが複数名いた。
だいたい7~10枚くらいは書けている。
去年に比べてペースが早い。
「展開部に入ったので書くことが楽しくてしょうがない」と振り返りに書いてくる生徒もいる。
小説の構成がわかって書いている。
既に自発的にグループになって読み合いをしているが、作家のイスを登場させてもいいかもしれない。

演劇部は北とびあ演劇祭のD V Dを見てダメ出し。
私は脚本に蛍光マーカーで書き入れていったが、部員たちはメモ帖に書き出している。
そのペンの音がひっきりなしに聞こえる。
視聴後の第一声は、「地区大会より悪い」。
幕明きからダメ出しの連続。決して自己卑下している訳ではなく、きちんと根拠がある。
歌について、パントマイムについて、もっとこうした方がいいという要求を出しあっているのがいい。
私のダメは主にタイミングと解釈についてで、地区大会より動きが整理された所はスルーしたんだけれど、彼女たちの方が妥協していなかった。
下校時間になったため、続きは明日ということに。

公演を終えて、気が緩んでいないのがうれしかった。

作家の時間開始。

昨年に続き、今年も作家の時間を始めた。
期間は約1ヶ月。
初回はそれぞれの目標設定と計画づくり。
2時間目からミニレッスン、ひたすら書く、共有、ふり返りのサイクルで授業を行う。
ミニレッスンは昨年、田辺聖子文学館ジュ二ア文学賞優秀賞を受賞した同級生の作品を読み聞かせる。そして、その中で使われている技法について指摘した。
昨年のミこレッスンで紹介した「現在形と過去形を交互にくり返す」という作家の技を使っていて、とても臨場感が出ている。
さらに言葉の選び方がいい。
生徒たちはその見事さに圧倒されたようだった。
しかし、去年、同じ時間をかけ、同じようにミニレッスンを体験したのだ。
やってできないことはない。
「すごすぎる・・・」
ロではそう言っていたが、みんなノートに向かって真剣に書き始めた。
3時間目は、2時間目のふり返りで「アイデアがわかない」と書いてきた生徒が目立ったので、私の創作ノートをコピーして配布。ミニレッスンは「思いついたことをとにかく書き出す」。
今年、演劇部のために書いた脚本は、戦時中の女子聖の生徒を演じたいという生徒の要望を元にしている。
そこでまず、現在の生徒が過去に行ってしまうという設定を考えた。
いわゆるタイムリープだ。
そこでタイムリープの方法を考えつくだけ書き出した。
薬を使う
タイムマシンで
超能力で
魔法で
など、片っ端から書いていったら、38通りになった。
この中から使えそうなものを選んだ。
選んだのは、
・部室で棚から物が落ちてきて
・体育館でドッジボールをしていて顔面にボールを受けて
・窓から転落して
・階段を踏み外して
・雷に打たれて
・自分で自分の頭をバシバシ叩いて
だ。
そして選んだものを元にプロットを立てる。そこまでを見開きノートいっぱいに書いていた。

もっとも、これはごく初期のアイデアで、部員の意見で部長ー人が活躍しすぎというコメントをもらい没になっている。
「こんなに考えたのに・・・」とつぶやく生徒もいたが、アイデアは一つ出てくれば、またどんどん出てくるものだということを話して、ひたすら書く時間に移った。

あるクラスでは、誰も一言もしゃべらずにひたすらペンを走らせる音だけが聞こえた。
またあるクラスでは机をつけて学び合い形式になり、三々五々、書きかけのノートを持ってきてはカンファレンスをするという形で進んだ。

いずれにしても、書くことに主体的に取り組む姿が見られた。

6日は台風のため休校となったが、次回の授業が楽しみだ。

「星籠の海」下 島田荘司

ああ、読み終わってしまった。
余韻が残る物語はいい。

急性白血病で亡くなった少年のエピソードが哀しい。
福島出身で、原発の近くの海でさんざん泳いでいたという設定。
舞台が1990年代でも、この時期に発行される作品にこのことが書かれていることは当然現実世界の批判として読める。
幕末の阿部正弘の政治手腕への言及も。
鎖国という状況の中で冷静に国際情勢を読んで、実効のある制作を次々と打っていった阿部の姿が、今日本の政治を司るもう一人の「アベ」への痛烈な批判になっている。
誰も責任を取ろうとしない政治。
現実に苦しむ人々をすくえない政治。
そんなふうに読んでしまうのは偏りではないと思う。

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島田荘司「星籠の海」上

島田さんの文章は美しい。
まず題名がいい。美しいよね、「星籠」。
「セイロウ」という響きもいい。
そして、文章は、なんだか呼吸するように、するすると体の中に入ってくる感じがする。
瀬戸内海には前任校の時、ちょうど瀬戸内博をやっていた頃に中学の修学旅行の下見と引率で出かけたことがある。
1987年、88年のあたり。
今回の舞台が93年だから、5、6年前か。舞台の様子はそんなに変わっていないだろう。

新興宗教で「日東第一教会」というのが出てくる。
「第一」と名付けるのは、韓国では多いときいたことがある。
私の通う教会の姉妹教会も「東村第一教会」。もちろんれっきとしたプロテスタント、長老派の教会だ。
鞆の浦の風景を見た朝鮮通信使が「日東第一」と感嘆した風景ということだから、やっばり朝鮮半島の人は素晴らしいという意味で「第一」とつけるんだろうね。

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さて、この作品で登場してくる優男の小坂井君。
優柔不断で自分というものを持たず、押しの強い女の子の意のままに行動してしまう。
ちょっと身につまされる所はある。
93年で20代だから、まあ同世代といえなくもない。
私には彼のようなひものような生活は耐えられなかっただろうけれど、どこか時代の空気に乗り切れない屈折はわかる。
瀬戸内と東京湾では全然違うだろうけれど、海辺の町の雰囲気はわかる。
特に、浦賀の辺りの風情には、何となく江戸の昔からの香りが漂っている気がする。
そんなわけで、この作品には本当にすんなりと入り込んでいけた。
伏線の数々が提示される上巻。
自分で自分を傷つけ、瀕死の状態に陥る看護学生。
瀬戸内に出没するネッシーのような未確認生物。
阿部正弘を巡る幕末の謎。
こうした諸々をいったい御手洗はどう解決していくのか。
下巻が非常に楽しみ。